ここから紹介するのは立命館大学スポーツ健康科学部の教授である藤田聡さんの著書「眠れなくなるほど面白いタンパク質の話」で詳しく知ることができます。
ダイエットで注目されている栄養素『たんぱく質』
-タンパク質不足がリバウンドの原因-
痩せてもリバウンドしやすいのは筋力の低下によるものが多く、その筋力の維持と向上のためにはたんぱく質が不可欠です。
-タンパク質の重要性が知られてきた-
今ではダイエットにおいて、たんぱく質の摂取は非常に重要なのはよく知られています。たんぱく質を多く含む食品はコンビニエンスストアでも手軽に入手できるようになりました。しかし、たんぱく質の働きや正しい摂取方法について理解している人は多くないでしょう。
-もっとダイエットの為に学ぼう-
この本では、健康やダイエットに欠かせないたんぱく質の働きや機能、正しい摂取方法、美容・健康を推進するために、たんぱく質をどのように生活に取り入れるかなど、すぐに使える実用的な情報を提供しています。
どんな食材に含まれているのか、1日に必要な量はどれくらいなのか、動物性と植物性の効果の違いはあるのかなど、たんぱく質に関する疑問を解決。この本を読むことであなたも「たんぱく質マスター」になることができますよ。
タンパク質とは
タンパク質は三大栄養素の一つです。
※三大栄養素 … 糖質・脂質・タンパク質
三大栄養素とは私たちの体に必要不可欠な栄養素のうち、特に重要な3つの栄養素のことを指します。
健康のためには、三大栄養素を偏りなく摂ることが重要だと言われています。
・タンパク質が身体を作る
タンパク質は私たちの体重の30~40%を占めており、筋肉や血管、内臓、皮膚、髪、爪などの大部分はタンパク質で構成されています。
特に筋肉においては水分以外の約80%がタンパク質によって作られています。
筋肉を作るためにタンパク質はとても重要です。タンパク質が不足すると筋肉量が落ちやすく、しっかり摂っていれば筋肉量を増やしやすくなります。
- 身体を作る
- 身体の機能を維持する
- 活動のエネルギー(熱)を生み出す
タンパク質には上記のような役割があります。
これらの機能が、丈夫な体のままダイエットを成功させるためにかなり重要です。
タンパク質のダイエット効果
- 脂肪を減らす
- ボディラインを綺麗にする
- 脂肪を増やさない
- 食べ過ぎを防ぎやすくなる
①脂肪を減らす
筋肉量が増えると基礎代謝が上がって脂肪を燃やしやすくなります。
筋肉量を落とさずに体脂肪を減らすためにはタンパク質の摂取が欠かせません。
特に定期的に運動する人はタンパク質の摂取がとりわけ大切です。
運動が多い人こそタンパク質が必要
運動(特に有酸素運動)をしているときには糖質や脂質がエネルギー源として消費されるのは間違いありませんが、実は筋肉も分解されています。
運動のやり方によっては筋肉に必要な栄養が消費エネルギーとして使われるので、タンパク質を摂取して筋肉量を維持できるようにしましょう。
タンパク質が不足していると食事制限や運動によるダイエット効果も台無しになるかもしれません。
ダイエットをする人の多くが、食事制限をしていることでしょう。
しかし食事制限によってタンパク質の摂取量が落ちると、脂肪だけでなく筋肉量も減ってしまいます。
一時的には体重が減ったとしても、その後の代謝機能が低下してリバウンドしやすいです。
食事制限はただ食事の量を減らすだけでなく、タンパク質を摂ること、栄養バランスを整えることも考えて行いましょう。
②ボディラインを綺麗にする
健康的なダイエットを目指すならばタンパク質の適量摂取が不可欠です。
タンパク質は筋肉を作るために必要な栄養素であり、筋肉が減ると身体の締まりがなくなってしまいます。
体重が減ったとしても顔はやつれて生気がなくなり、身体のラインもメリハリがなくなって魅力が減るでしょう。
筋肉量を維持したまま脂肪を減らせると、筋肉のラインが綺麗に出るため、体重が一緒だったとしても見た目としては痩せて見えます。
下半身の筋肉が1キロ増えるだけでかなり引き締まった印象に変わるので、たんぱく質の摂取と筋肉の見え方などもしっかり意識してみましょう。
浮腫みも改善できる
筋肉はむくみにも大きな影響を与えます。特に重要と言われるんでは「ふくらはぎ」です。ふくらはぎの筋肉はポンプのように重力に逆らって血液を心臓に送り返す「第2の心臓」と呼ばれています。
ふくらはぎに必要な筋肉量を維持できれば、血流が滞らず身体が浮腫みにくいです。浮腫みが取れるとボヤけていた身体の輪郭がスッキリして、痩せて見えるようにあります。
③脂肪を増やさない
タンパク質が多い食品をいくつが見ていると、意外とカロリーが高いと感じるかもしれません。
でも安心してください。
食後、しばらくしたら体がポカポカ温かくなるのを感じたことはないでしょうか?
この時、身体は摂取した栄養素が体内で熱となり、消費されている状態です。
この作用を日本語ではDIT(食事誘発性熱産生)と言います
DITによって消費されるエネルギー
糖質 | 脂質 | タンパク質 |
6% | 4% | 約30% |
上記のように、たんぱく質は摂取後の消費エネルギーがずば抜けて大きいです。つまりタンパク質を多く摂取すれば、脂肪の燃焼を強く促進できるのです。
・食べ過ぎを防ぎやすくなる
タンパク質は糖質などのエネルギー源と比べて血糖値が上がりにくく、脂肪に変わりにくいです。
腹持ちも良く、血糖値の変化が緩やかな分、食後の満腹感が高いため過食を予防できます。
糖質がほとんど含まれていないタンパク質食材は、食事の際の食べ始めや空腹時の間食に適しています。
組み合わせるとGOOD
「腹持ちが良い」ということは消化に時間がかかるという側面もあります。
そのため、消化吸収を助けるためにタンパク質の分解酵素を含むショウガやニンニク、大根などを付け合わせるのもオススメです。胃の負担を軽減して栄養価もアップします。
タンパク質の種類
たんぱく質は動物性と植物性の2つの種類があります。それぞれに特徴や性質、身体への働き方が異なるので、両方をうまく組み合わせて摂取しましょう。
それを意識していると栄養だけでなく献立全体のバランスも整いやすくなります。
・動物性タンパク質
脂身の少ない部位の肉 | 鶏胸肉、豚ロース肉、牛もも肉 |
魚類 | マガレイ、クロマグロ、カツオ |
上記は動物性たんぱく質が豊富な食品です。
動物性たんぱく質は身体に必要なアミノ酸を豊富かつバランス良く含んでおり、筋肉や身体の組織の材料を効率よく摂取できます。
動物性たんぱく質が豊富な食品はエネルギー代謝を助けるビタミンB群も豊富なものが多いです。
おすすめは魚類、赤身肉
タンパク質を摂るなら意識したいのが必須アミノ酸。その中でも筋肉の合成を促すロイシンを含む食品を積極的に摂ることが重要です。ロイシンは上記で紹介した魚類、赤身肉にも多く含まれています。
また、タンパク質は消化吸収が早いほど効率よく筋肉を作れるという性質があります。
鶏モモ肉よりも、皮なしの鶏ささみ
固まりの肉よりも、赤身のひき肉
サバやツナ缶も油で漬けているものよりも、水煮
動物性タンパク質が含まれている食品でも、上記のように選んだ方がよりダイエッター向きです。
・植物性タンパク質
高野豆腐、大豆、蕎麦など |
植物性タンパク質が含まれる食品は上記など。脂肪が少なく脂肪燃焼を促進する効果があります。
体脂肪の気になる人に魅力的なタンパク質ですが、動物性たんぱく質と比較して必須アミノ酸は多くありません。
植物性たんぱく質が豊富な食品は、胃の中を掃除してくれる食物繊維も豊富なものが多いです。
おすすめは大豆製品
必須量のたんぱく質を摂りつつ、脂肪やカロリーを抑えたいダイエット期間にぜひ取り入れたい植物性タンパク質の代表格が大豆製品です。
低カロリーでロイシンや他の必須アミノ酸もバランスよく含まれており、筋肉の合成を助ける働きもしっかりと担ってくれます。
たんぱく質の摂取量
「糖質や脂質はしっかり取っているのに、タンパク質が不足している」というのは、ダイエットにおいてよくある落とし穴です。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準によると、成人男性は1日60g、女性は50gのタンパク質を摂取することが推奨されています。
しかし、これは平均的な人々の数値を基準としたものであり、実際には個人の活動量や体重によって必要なタンパク質の量は異なります。
動物性と植物性のバランスは1対1が目安であり、動物性の摂取比率が30%以下になるとアミノ酸のバランスが崩れやすくなってしまいます。
人によって異なる
タンパク質の適切な摂取は、自分自身の活動や体格に見合う量の摂取をしましょう。
例えばデスクワークや軽い運動をする程度の人なら、体重1kg当たり約0.9gのタンパク質が必要です。
妊婦や授乳期の女性や体の大きな人、運動量が多い人などは、より多くのタンパク質が必要になります。
筋トレや激しい運動をする人は体重1kg当たり最大1.6gのタンパク質を摂取することが理想的だと言われています。
タンパク質は高齢者にも大事
高齢者も必要摂取量は意外と多く体重1kg当たり1.06gです。
高齢になると筋肉量の減少が進むためタンパク質の摂取量がますます重要になります。
下記は毎日のタンパク質の摂取量は大切と分かる、アメリカで行われた追跡調査データです。
2000人を超える70~79歳の高齢者を対象に追跡
結果:大多数の高齢者は3年間で著しく筋肉量が減少
最もたんぱく質の摂取が多いグループ
…1日の平均 体重1kgあたり1.1g
最もたんぱく質を摂取が少ないグループ
…1日の平均 体重1kgあたり0.7g
このわずかな摂取量の差でも、その後の筋肉量を比較すると約40%もの差があった
タンパク質は子供にも大事
成長期の子供たちにはたんぱく質が欠かせません。
筋肉や骨の成長にとって重要であると同時に、心の成長にも密接に関わっています。
たんぱく質に含まれる必須アミノ酸は、セロトニンやドーパミンといった脳内神経伝達物質の分泌を促す働きがあります。
自律神経のバランスを整え、心身の調子や睡眠リズムの安定、そしてやる気を引き出す力がありますので、たんぱく質が十分に摂取できていると健やかな成長の手助けとなるでしょう。
たんぱく質を摂取できる食事例
普段食べる食材のタンパク質の含有量を大まかに覚えておくことで、献立を考えるときの目安になります。
【例】
コップ1杯(200ml)… 6~7g
ヒレステーキ(100g)… 20g
下記も身近なもので効率よく十分な量のたんぱく質を補う食事の参考にしてみてください。
●必要タンパク質を摂れる1日あたりの食事
肉と魚 … 200グラム
タマゴ … 1~2個
大豆製品を使った料理 … 2~3品
※納豆や豆腐など
体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含むものが良質なたんぱく質と言われています。
良質なたんぱく質を含んだ食品は、必須アミノ酸の含有量やバランスを数値化した「アミノ酸スコア」で探してみましょう。
スコアが100に近ければ、バランスの良い必須アミノ酸を含んでいることが分かります。穀類や野菜のスコアは低く、肉や魚、卵などの動物性タンパク質はスコア100を満たすものが多いです。
・プロテインは必要?
プロテインは近年吸収性の高いタンパク質を効率的にとる方法として筋トレ愛好家たちから支持を受けるようになりました。
プロテインは生乳や大豆などの食品からタンパク質を抽出してパウダー状に加工したもの。いろんな種類があり、低脂肪で余分なカロリーを摂取することなく水や牛乳に溶かすだけでタンパク質を摂取できます。
ただし、食事で十分なたんぱく質が摂れている人は必要ないとも言われています。
プロテイン頼みの食事はNG
タンパク質は必須の栄養素ですが、食事で必要な量を全てプロテインに置き換えることは避けましょう。
プロテインに偏ると、糖質、脂質、ビタミン、食物繊維など他の栄養素が不足する恐れがあるからです。
また、プロテイン製品に含まれるパウダーやゼリー状など人工的に作られたプロテインやアミノ酸も身体によくないと言われています。
これらの栄養素は急速に吸収されて血液中に入り込み、過剰なアミノ酸は尿素となり排泄されるのですが、この過程で腎臓に負荷がかかり腎機能が低下することがあります。
できるだけ肉、魚、大豆などの食事で栄養のバランスをとり、必要な栄養素を取り入れるようにしましょう。
タンパク質の摂取頻度
1食あたりのタンパク質の摂取量は適度であることが大切です。
例えば1日に必要な96gのタンパク質があるとすると、1食でまとめて摂ると利用しきれなくて排出されてしまいます。
逆に少なすぎる量に小分けにして摂っても、筋肉の合成に必要なアミノ酸の血中濃度が上がらず、筋肉の分解が始まってしまうでしょう。
筋肉の合成をしっかりと進めるには、1食ごとに20~30gのタンパク質をまとめて摂ることが必要です。
身体作りのために有酸素運動をするなら、筋肉の分解が進まないようにタンパク質をしっかり補給しておきましょう。
タンパク質摂取+必要なダイエット
- タンパク質+他の栄養摂取
- タンパク質+運動
・タンパク質+他の栄養摂取
筋肉をつけるためには、タンパク質だけでなく他の栄養素も摂ることが必要です。タンパク質は筋肉合成の原料として不可欠ですが、他の栄養素も筋肉にとって重要な役割を果たしています。
ビタミンD
例えばビタミンDは、タンパク質と併せて摂ることで筋肉の合成を促進する栄養素です。ビタミンDは日光を浴びたり、魚介類やキノコなどの食品を食べたりして摂取できます。
ビタミンB群
ビタミンB群には、トレーニングによる筋肉疲労に効果的な成分が含まれています。特にビタミンB1は、体にたまった疲労物質をエネルギーに変えるサポートをし、疲れやだるさが残りにくくなります。
適切な摂取によってトレーニングの効果を高めましょう。ビタミンB群は、豚肉やレバー、ごまなどの食品から摂取することができます。
糖質
糖質が不足するとエネルギー不足に陥ります。そうなると筋肉が分解されてしまうので、トレーニング効果を最大限に引き出すためにも適度な糖質の摂取が必要です。
・タンパク質+運動
運動は消費カロリーよりも筋肉量の増加や維持を目的にするといいでしょう。運動によって得られるメリットは体型を良くするだけではありません。脳の神経伝達物質を活性化して集中力向上、ストレス軽減、そして幸福感を上げることに繋がります。
運動とはいってもエスカレーターを止めて階段を使ったり、歩幅を大きくするなど、日常生活の中でできる活動量を増やすことからでも大丈夫です。筋肉量の大幅な増加を望むのは難しいかもしれませんが、筋肉量を維持することはできます。
適切な栄養摂取も忘れずに行い、トレーニングが水の泡にならないようにしましょう。定期的な運動は健康的なライフスタイルに不可欠です。
運動は質の良い睡眠に繋がる
【平均睡眠時間で変わる肥満になる確率】
7時間の人は、6時間の人よりも23%低い
7時間の人は、5時間の人よりも50%低い
7時間の人は、4時間以下の人よりも73%低い
運動には睡眠の質を上げるというメリットがあり、逆に運動不足になると太りやすくなってしまいます。
運動不足はインスリン抵抗性を引き起こし、食後の血糖値コントロールが上手くいかなくなり、体が脂肪を蓄えやすい状態になってしまいます。
睡眠不足だとだるくて活動量も減るでしょうからエネルギー消費量が低下。さらに、睡眠不足だと食欲を抑えるホルモンのレプチンの分泌が低下し、食欲を刺激するグレリンの分泌が増えてしまいます。
つまり、睡眠不足はエネルギー消費が下がっているにもかかわらず食べる量が増えてしまい、体重の増加に繋がってしまうのです。
タンパク質は美肌にも大事
タンパク質は筋肉や肌、髪、爪などの美容にも欠かせない栄養素です。美容に効果的な栄養素はビタミンCやビタミンB群などが挙げられますが、肌を作る材料はタンパク質のみ。肌が荒れたり、髪が細くなったり、爪が割れやすくなったりする場合は、タンパク質不足を疑ってみることが大切です。
皮膚のハリや弾力を生み出しているコラーゲンやエラスチンもタンパク質で構成されています。肌のためにはコラーゲンの材料である良質なタンパク質とコラーゲンの生成に欠かせないビタミンCと鉄を一緒に摂りましょう。
タンパク質は血液の生成にも大きく関係しています。赤血球の主要な構成成分であるヘモグロビンはタンパク質そのものです。タンパク質不足だと赤血球を作れず貧血を招くことがあります。
運動をしている人は普通の人よりも多くのタンパク質を必要とします。タンパク質不足で筋肉が落ちたり肌がしわしわになったりするのはもったいないことです。
中高年になると足腰を衰えさせないためにウォーキングなどの運動を始める方も多いと思いますが、毎食一定量のタンパク質の摂取を前提として行なっていただくことが大切です。
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